T‐1 小自治体税制改革
T‐2 市町村連合
T‐3 自由都市 TPP 東アジアハンザ同盟
T‐4 アイヌ部族国家・部族政府 (先住民国家・先住民政府)
T‐5 移民税制 (逆空洞化税制)
T‐6 国境を越えた自由都市(中立・共同自治体)
T‐7 日銀の国債買い入れと地域通貨
T‐8 連邦国家(道州制)
T‐9 官僚制度改革(キャリア制度の見直し)
T‐10 横浜都(特別区連合)・海都(自由都市)構想、横浜市への提言
T‐11 納税者番号と金融証券番号
T‐12 パシシル文化
U‐1 RINO 令和2年度税制改正要望
中小企業でも輸出が容易にできるよう香港のような外国(自由都市)を国内に創設すること 大黒ふ頭等の保税地域にある大企業の工場に下請会社が納入した部品等も輸出とし、消費税を免税すること
U‐2 国境を越えた市町村連合
U‐3 自由都市 TPP 東アジアハンザ同盟追加項目
U‐4 「インディアン・カジノ」「バリ島の先住民 バリ・アガ」
U‐5 国の分断を防ぐ姉妹都市・移民税制
U‐6 力なき正義は無力
国連に強権を与え、自衛隊も国連軍に再編すること
U‐7 オンライン・カジノと麻薬取引で成長した仮想通貨
U‐8 国連自由都市連邦
移民と先住民の融和
U‐9 電子政府とAI官僚・AI裁判官
大川常吉鶴見警察署長と警察官僚・正力松太郎
U‐10 横浜都(特別区連合)・海都(自由都市)構想、
横浜市への提言
U‐11 納税者番号と金融証券番号追加 ITで蘇る律令制
U‐12 パシシル文化再考(中立地帯と国連直轄領について)
(マイナンバーには、戸籍・律令制が現代に蘇り監視国家になる危険があるが、国民の徹底した検証ができるのであれば、透明性を高め国民の利便性を高めることが期待できること
1.古代、東アジアでは個人を課税対象とする租税制度・租庸調制が施行され、国家による人民支配は徹底した。課税は恣意性を排除し一律に行われ、官僚が体系的に配置された地方行政制度での戸籍・計帳台帳を基に班給・課税・徴兵の三制度の実施が可能となった。
高福祉高負担でありながら経済を成長させ、財政を健全化した北欧では課税逃れや生活保護等社会保障受給不正を防ぐ個人番号で国家財政を成立させている。しかし、日本には、戸籍が存在し納税や徴兵がされた歴史がある。 マイナンバーと戸籍が連動すれば、個人情報が国家に悪用されるだけでなく、漏洩した場合でも、重大な人権侵害が起きる危惧がある。
米国では1936年に社会保障制度番号制度であるSSNを導入、1961年以降は納税管理に使用する。現在は銀行口座管理等多目的に使われ社会保険、税務等の行政分野で共通番号として利用、生活の全てに社会保障番号が要求される。けれども、SSN乱用やプライバシー侵害が社会問題化し、国税職員による数万件の不正覗き見事件も起きる。2015年5月下旬には本人なりすまし税金還付金で1万3千人分、3900万ドルが詐取される事件が発覚した。9歳の頃から42社に加入150万米ドルの借入があることにされ高校卒業直前にクレジットカードを作ろうとしてカード会社から作成を拒否された女性もいる。住所・名前・番号が、分かれば「成りすまし」が出来るため9人の成人が1人の9歳の児童に成りすました例、不法移民に悪用され小学生が被雇用者登録されていた例もある。米国ではSNSの身分証明使用制限、商業用使用禁止法案が検討されている。(出典:ウィキペディア 社会保障番号)
2010年5月にイギリスの保守党・自民党連立政権は国家が必要以上に国民の個人情報を収集しない方針を打ち出し、前労働党政権下で導入した、国民IDカード制を恒常的な人権侵害装置であるとして廃止を決定した。(出典:’http://www.pij-web.net/blog/article.php?id=70’)
また、ドイツは全ての居住者(外国からの移住者も)に納税者番号を付与しているが、
eIDカード、ICカードに納税者番号の記載はなく、民間利用は禁止されている。
(出典:マイナンバー社会保障・税番号制度概要資料平成27年5月版内閣官房 社会保障改革担当室)
米国の社会保障カードは生体認証が組み込まれていない。しかし、インドの国民識別番号アドハーは指紋や虹彩という生体情報や顔写真情報が照合可能情報として登録・本人確認・生体認証が可能で、本人確認や本人に紐づく決済や医療の各種既存システムへの組み込む。インドでは出生証明書所持者は全国民の半分以下で納税者は更に少なく、運転免許所有者はもっと少ない。公的身分証明書を持たない人は貧困層に顕著で、2000年当時、低所得者向けの食料や肥料の配給の4分の1が不正受給されていたのは個人識別制度が存在しないためとインド政府は主張している。しかし、指紋、虹彩、網膜や顔形のようなアナログ情報による生体認証から識別精度が高いDNA(遺伝子)デジタル認証に発展する可能性がある。
2.人間のDNAは約30億個の塩基配列から成り人体の設計図ともいわれ、DNAの塩基配列も人によって異なる。これを利用することで、個人認証を行うことができるが、遺伝子情報が悪用される危険がある。けれども、インド政府には福祉予算の不正受給や無駄遣いを防止し、正しい対象者に給付がされるため、強力な情報セキュリティ機能を持つ個人識別制度を確立する必要があった。
インド固有識別番号庁(UIDAI)は全国民に12桁の数字を発行するアドハープロジェクトを2009年に着手し、2010年に登録申請が開始された。2016年には携帯電話のSIMカードの取得、納税申告書の提出を受ける際には、アドハーの番号が必須となった。
また、インド財務省は2017年末までにアドハー番号とひも付けがされない個人銀行口座の凍結を発表した。けれども、アドハーにも登録情報の情報漏洩の問題がある。
政府のウェブサイトから1億3000万人以上の登録者名、銀行口座番号、アドハー番号が流出し、ネット上で公開された。また、インドでは無線通信のための帯域幅が枯渇しているため、膨大な生体情報を高速にやり取りする必要があるアドハーのシステムは適切ではないという批判がある。インフラの未整備 - 指紋認証、虹彩認証の装置を動かすには電源が必要であるが、インドの電源は停電も多く不安定である。推定2億4000万人のインド国民は電気のない暮らしを送っている。なを、アドハーが国家による監視システムとなるのではないかと懸念するむきがある。アドハーが指紋や虹彩を登録し、基本的なサービスに活用されることからプライバシー権侵害を訴える訴訟が起きた。インド憲法ではプライバシー権は明文化されておらず、インド政府は国民にプライバシーに対する絶対的な権利はないとする立場をとっていたが、インド最高裁判所は2017年8月にプライバシー権は憲法で保障される権利だと認める判断を下した。このため、アドハーの見直しが予想されている。
出典: (ウィキペディア アドハー)(一般社団法人 日本自動認識システム協会 バイオメトリクス認証の特徴 ‘https://www.jaisa.or.jp/action/group/bio/Technologies/Dna/Dna-f.htm
‘ )
PIJ Web BLOG イギリス国民IDカード制廃止法案の審議状況報告2010/10/29
‘http://www.pij-web.net/blog/article.php?id=70’には次のような記載がある。
「イギリスで2010(平成22)年5月に誕生した新(保守党・自民党)連立政権(Lib-Con
Coalition Government)は、自民党の政権公約(マニフェスト)および連立政権協定にしたがい、「国家が必要以上に国民の個人情報を収集しない方針」を打ち出した。そして、前労働党政権下で導入した「国民IDカード制」を恒常的な人権侵害装置であるとして廃止を決定した。国民IDカード廃止関連法案(national ID card abolition bill)は、(1)背番号(NIRN/国民ID登録番号)及び各人から強制収集した指紋その他の生体認証情報を管理する登録台帳の破棄、(2)背番号等を格納するIDカードの廃止、(3)政府第三者機関(NISC/国民ID制コミッショナー)の廃止などを骨子とする。イギリス連立政権のニック・クレッグ(Nick Clegg)副首相は、国民IDカード制廃止に関して、マスコミのインタビューに応えて、次のように述べている。
「このムダで、官僚発想的で、人権侵害的なIDカード制は、これまでの政府の害悪のすべてを象徴するような存在であります。早急にこのIDカード制度を廃止することにより、新政府は、閣僚の身勝手な計画によって市民の自由を犠牲にするようなことはない旨、を明確にするものであります。」
「IDカード制を廃止し、国家ID登録台帳(NIR)を廃棄することは、監視国家体制(surveillance state)を解体するための重要な一歩であります。IDカードは氷山の一角です。イギリス人が勝ち取ってきた自由を回復するための一連の急進的な改革のスタートであります。」
上記のように英国で、「ムダで、官僚発想的で、人権侵害的といわれたIDカード制」を英国の植民地であったインドでは国民識別番号制度アドハーとして発展させた。
2017年7月の時点ではインド人口の99%以上、11億6000万人近くが顔写真、両手の指の指紋、両眼の虹彩の情報を登録、アドハーの身分証明カードを受け取っている。銀行取引、住宅ローンの契約、携帯電話の利用といった生活の中や政府職員の勤怠管理(出退勤の記録)もアドハーによる生体認証や12桁の数字を使って行う。アドハー導入の効果で、金融機関を利用する女性の割合が27%増加、アドハーを利用した銀行口座の開設件数は2億7000万口座を超し、携帯電話の利用率も前に比べて倍増し人口の79%が携帯電話を利用する。
アドハーはインド国民以外も登録が可能で、2015年時点でバングラデシュとパキスタン出身者を中心に、520万人の外国人がアドハーに登録を行ない、外国人労働者の身分証明と法的な地位の認定に利用されている。アドハーの登録はインド国民にとって義務ではないが、アドハーの身分証明カードが必要とされるサービスは増加し、実質的に身分証明カードを所有しない生活が困難になってきている。インド鉄道では、鉄道乗車券をオンライン予約する際にアドハー番号の提示を要求する計画もある。 (出典: ウィキペディア アドハー)
なを、日本のマイナンバー訴訟の現状は以下の通り。
原告は「マイナンバー制度の施行により,憲法13条で保障されたプライバシー権(自己情報コントロール権)が侵害されると主張し、(1)プライバシー権に基づく妨害排除
及び妨害予防請求として,原告らの個人番号の収集・保存・利用及び提供の禁止並びに削除を求めるとともに(2)国家賠償法に基づき損害賠償(1人当たり11万円)」を国に求め、国は「マイナンバー制度に基づく個人番号の収集等は,個人に関する情報をみだりに第三者に開示又は公表するものとは認められず,憲法13条により保障された個人の自由を侵害するものではなく,また,原告らに係る個人番号の収集等は,番号利用法(行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律)の規定に基づいて適法に行われるものであるから,いずれの請求にも理由がない」と反論している。
(出典:法務省ホームページ‘http://www.moj.go.jp/shoumu/shoumukouhou/shoumu01_00059.html’)
2019年9月27日、朝日新聞デジタル‘https://www.asahi.com/articles/ASM9V535SM9VUTIL01Z.html’にはマイナンバー違憲訴訟は横浜地裁で初判断され請求は棄却、住民側が敗訴したとの次の記事がある。「マイナンバー制度はプライバシー権を侵害し、違憲だとして、神奈川県と東京都の住民計230人が国を相手取り、個人情報の収集差し止めや慰謝料などを求めた訴訟の判決が26日、横浜地裁であった。関口剛弘裁判長は「制度に具体的な危険性があるとは言えない」「個人情報がみだりに第三者に開示、公表されない権利」としたうえで、マイナンバー自体はプライバシーに属する情報を含まず、ひもづけられる個人情報は制度の運用前から行政機関で利用されていたものだとした。また制度は行政の効率化など公共の利益にかなうものであり、漏洩など不正に第三者に開示、公表されることを防止する法制度上の仕組みが設けられているとして、「プライバシー権を侵害しておらず、違憲とは言えない」と結論づけた。」原告側弁護団によると横浜の他、全国7地裁で同種の訴訟が起こされているが、判決が出たのは初めで、原告側は控訴する方針とのこと。
産経新聞’https://www.sankei.com/affairs/news/191227/afr1912270016-n1.html’にも、「名古屋地裁も2019年12月27日、マイナンバー訴訟で住民側の請求を棄却している。
全国8地裁に同種の訴訟が起こされており、判決は住民側の請求を棄却した今年9月の横浜地裁に続き2件目」との記事がある。
3. 戸籍制度は、古代東アジアで見られた中央集権的な統治制度であるといわれる。しかし、唐制に倣って施行したことが実証されるのは日本だけである。中華文明圏で成立した家族集団認定を基礎とする戸籍制度は、近代以降、国民・住民の把握は国家により個人単位あるいは家族集団単位で行われた。欧米でもアングロサクソン系国家は個人単位、大陸系国家では家族登録制度を採用する傾向がある。アメリカ合衆国、イギリス、オーストラリアは国家による家族登録を行わない伝統を持ち、戸籍のような家族単位の国民登録制度は存在しないが、社会保障番号制度はある。社会保障番号は年金の加入・支給を管理する日本における基礎年金番号に相当し、戸籍は存在しない。結婚等の登録も役所の住民登録で済まされる。居住地でなくとも婚姻届を受理する州も多い。しかし、東アジアの広い地域で存在した戸籍は戸と呼ばれる家族集団単位で国民を登録するため作成された公文書である。21世紀現在、中華人民共和国と日本と中華民国(台湾)のみに現存する制度である。律令制は東アジア諸国でも10世紀以後、死滅もしくは形骸化した。均田制の根幹、百姓への耕作地支給は実施されなくなり、780年に税制は租庸調制から両税制へ移行した。758年には塩と鉄の専売制が開始されている。律令制は機能不全に陥り唐後期になると律令制はほぼ消滅した。
日本の律令制は7世紀後期から10世紀頃まで実施され、8世紀初頭から同中期・後期頃までが律令制の最盛期とされる。8世紀末、財政的・人的負担から桓武天皇は簡素・実効的制度に置換する行政改革を行った。しかし、桓武天皇による軍団の廃止は治安を悪化させ、律令制は鎌倉幕府が成立し武家政権が形成されたことで、実質的に終わったとされる。
また、明治政府は賤民問題処理のために「賤民」を「平民」に編入し戸籍制度を再興した。しかし、明治5年に復活した壬申戸籍では差別は残り、1886年(明治19年)、壬申式から統一書式を用いた戸籍へと変更が行われた。1898年(明治31年)戸籍法によりこの様式は改製原戸籍として取り扱われたが、改製原戸籍は保存期間が経過した後に廃棄処分扱いとされた。1968年(昭和43年)被差別部落民かどうかを探り出すためにこの戸籍が用いられようとした事件が発覚、同年3月29日民事局長通達により閲覧禁止とし、法的な廃棄手続きを経たものは法務局・地方法務局・市町村のいずれかにて厳重に包装封印して保管することになった。保管の理由は「遠い将来における学術資料・歴史的資料となり得るもの」とされている。ただし、灘本昌久は「現在、広く信じられている俗説に、壬申戸籍は、政府が差別を目的として作ったもので、解放令を無に帰すため、部落民にはほとんどすべてに『穢多』『新平民』という記載があり、現在でも壬申戸籍を見れば、たちどころに部落民か否かが判明するかのごとき誤解がある。(略)しかし、実際に壬申戸籍を見ればわかるが、確かに役場の戸籍係が様式に違反して、古い戸籍を引き写し『新平民』『穢多』などと記してある場合があるにはあるが、それは、例外的であって、99%は『平民』と記載されている」と指摘している。なを、被差別部落の居住者は先祖代々同じ血筋で固定されたものと考えられることが多いが、歴史的には被差別部落で財をなし成功した者が被差別部落の外へ流出すると同時に、被差別部落の外で食い詰めた犯罪人や無職者が生活費の安い被差別部落の中へ流入することが繰り返されてきた。京都市内のある部落では京都部落史研究所の調査の結果、半数を超える「部落民」が部落外からの流入者と判明したこともある。1937年(昭和12年)に京都市社会課が市内の8箇所の部落を対象に行った「京都市における不良住宅地区調査」では、「部落民」のほぼ半数が外部からの流入者と特定された。
また、日本統治時代の朝鮮半島から内地に渡った朝鮮人が被差別部落に住み着くことも多く、日本の総人口に在日韓国・朝鮮人(在日コリアン)が占める割合は1%に満たないが大阪市のある同和地区では住民の13.8%を在日コリアンが占める。京都市の崇仁地区では1920年代以降の人口増加は大半が朝鮮人の増加による。崇仁学区内貧困者比率が京都市内で最も高い。原則、同和地区在住の外国人は属地属人主義により同和事業の対象にならないが、属地主義を採り同和地区在住の在日韓国人を同和対策事業の対象とする自治体もある。(出典:ウィキペディア
戸籍 国民総背番号 中国の身分証制度 律令制 壬申戸籍、部落問題)
また、法制審議会部会の戸籍情報をマイナンバー制度と連携させる戸籍法等の改正要綱案によるとマイナンバーを示せば戸籍証明書が添付不要になり戸籍謄本取得も最寄り自治体で可能になる。法務省が持つ戸籍の副本データとマイナンバーを連携させる新システムを構築、行政機関がマイナンバーにより戸籍情報を取得できるようにする。戸籍は高度個人情報のため、法務省や自治体の職員に秘密保持義務を課し、流出や不正利用への罰則も設ける。
(出典:戸籍とマイナンバー連携 法制審が改正要綱案2019.2.1
‘https://www.sankei.com/affairs/news/190201/afr1902010042-n1.html’)
4.国際大学グローバル・コミュニケーション・センター諸外国における国民 ID 制度の現状等に関する調査研究報告書‘https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/linkdata/h24_04_houkoku.pdfに、
「韓国の住民登録番号PINは北朝鮮のスパイを摘発するために制度化され、住民登録番号PINはオンライン上で、生活便宜(教育、就職、運転免許、パスポ−ト、預金、投資、選挙、社会保険等)を向上させ、電子納税等の行政効率化に貢献した。」
「韓国の住民登録番号制度は住民統制の手段、指紋押捺による人格権の侵害、個人情報の流出への憂慮、など様々な批判を浴びながらも、行政業務処理の効率化と迅速な身分確認、住民居住現況や人口統計の容易な把握などで、今は社会の必須の制度として位置づけられている。2004 年に ID カード法案が提出され、2006 年に成立した。この法案では、指紋や顔写真のデータと共に住所、氏名をデータベース化(National Identity Register)し、それに基づいて ID カードを発行することを規定していた。また、この ID カードの携帯を義務付けている。ID カードとデータベースを照合することにより、身元確認を行うことができ、テロ対策や不法就労対策になると考えられていた。しかしながら、2010 年 5 月に政権交代の影響により ID カードの廃止法案が提出され、廃止される見込みとなっている。廃止される理由としては、費用対効果が高くないことや、個人情報の一元管理によるプライバシーや市民的自由の侵害が危惧されることがあげられる。」
「警察庁サイバーテロ対応センターの統計によると、韓国のサイバー犯罪(違法複製、詐欺、誹謗中傷など)の検挙率は 90%近い。他の国より圧倒的に検挙率が高い理由の一つとしてインターネット実名制度が定着していることが挙げられる。ところが、2009 年 YouTube が韓国の実名制度に反発して韓国語サイトから動画をアップロードできないようにしたことをきっかけに、インターネット実名制に対する議論が沸騰した。利用するだけのことで個人情報の要である住民登録番号を企業に提供するのが可笑しいという意見が多い。結局、政府は YouTube に対しては実名制を適用しないようにした。」
「この制度が施行して 5 年目を迎える現在、住民登録番号の流出などの個人情報保護の問題、表現の自由の侵害、インターネット事業者の営業自由の問題と海外サイトとの不公平さなどがあることで、放送通信委員会と行政安全部は廃止を検討している。」
「履歴書、資格の受験票、在職証明書、賃貸契約の証明書、納税の申告に必要な領収書、病院のカルテや処方箋、放送通信大学の会員情報管理用の画面などに広く活用されている。」「韓国では 2011 年 9 月施行の個人情報保護法が、啓蒙期間である 6 ケ月を終え、2012年 3 月 30 日から本格的に施行された。これによって、特別な場合を除いて、住民登録番号とセンシティブな個人情報を収集したり、本人同意のもとで収集した情報を他の目的に使ったりすることができなくなった。」
との記事が掲載されている。
5. 現代の中華人民共和国においても、戸口登記条例第4条第4項に、「戸口登記簿および戸口簿に登記された事項は、公民の身分を証明する効力を有する」と規定されている。
中国国民の身分を証明する手段としては戸口簿が使われ、中国国内出張の際には、空港やホテルで単位工作証と紹介状(公務出張許可証)を提示していた。しかし、1978年の改革開放政策による物と人の移動が活発になり、各分野の交流が拡大し身分証明が要求される対象・頻度も拡大したが、戸口簿は携帯に不便であった。個人単位の証明証としては「工作証」や「学生証」があったが統一化・法制化されておらず、失業者等所属機関からの身分証明を受けられない人々も存在した。そこで法的効力をもつ個人単位の身分証明証を国が統一して発給、正当かつ合法な活動を守ることが強く求められるようになった。
1995年に「居民身分証条例」が、翌1996年に「居民身分証条例実施細則」が定められ、国内に居住する満16歳以上の中国公民を公布対象として、「居民身分証」が配布されるようになった。氏名・性別・民族・生年月日・住所ならびに15桁の「居民身分証番号」が、記載項目としてあり、発行日・有効期限・番号・顔写真とともに担当部局である公安機関、すなわち本人の居住地の戸口登記機関の印章を捺しカード型にラミネート加工された後、一人に1枚が交付された。居民身分証番号編成工作の組織・実施主体は公安部であり、番号の編成にあたっては公民の常住戸口所在地を基準として編成される。実施細則は1999年10月に2度目の改正が行われており、「居民身分証」の番号は公民身分番号を使用することとなった。「戸口登記機関は公民の出生登記を行うとき、公民に公民身分番号を編成する」と定めた。これにより中国の身分証制度は、労働社会保障管理情報システムにも連動することになった。
公民身分番号は公民が生まれた日に直ちに決定され、全ての中国公民は終生不変の個人番号を有する。満16歳以上となり初めて、具体的な有形の居民身分証という形で交付される。2003年には、居民身分証条例が改正され、「居民身分証法」が成立し、非接触式のICカード技術を用いた新しい「第二世代身分証」(第二代身分証)が公布されるようなった。2011年の居民身分証法の改正で指紋情報の登録もされるようになった。
(出典: ウィキペディア 国民識別番号)
「監視カメラ大国」中国では、顔認証・顔認識が活用され、「SIMカード新規購入時に顔スキャンが必須」という規則が、2019年12月1日から施行され、新たに、SIMカードを新規購入するときも顔のスキャンが必須になっている。
(出典:2019年12月3日GIGAZINE https://news.livedoor.com/article/detail/17470157/ by Dmitriy Tyukov)
6. 米国の社会保障番号 SSNの目的は社会保障プログラムの中で個人の収支を記録するためのものであったが、米国国内での身分証明として使用されることとなった。アメリカでは社会保障番号を持たないことも選択できる。しかし、社会保障番号は納税者番号でもあり、米国では、銀行口座の開設、クレジットカードの発行、家の賃貸、ガス・電力会社・水道の契約、子供を所得税制上の扶養家族とすること等に社会保障番号は必要とされる。
また、内国歳入庁は、すべての企業に対し、従業員に社会保障番号(もしくは代替できるIDナンバー)の取得を求めている。このため、番号を持たない者は就労が困難である。
また、年金番号にもなっている等、生活の全てに社会保障番号が要求されるため社会保障番号がないと米国では生きていけない。内国歳入庁が企業に、従業員の社会保障番号の取得を求めていることが、不法就労に歯止めをかけている。社会保障番号を持たない者は米国内での就労が困難で、移民や外人労働者にとっては社会保障番号(SSN)の取得はステータスになっている。日本でも、納税者番号の取得が就労の許可の証明書になる可能性が高い。
(出典:ウィキペディア 社会保障番号)
なを、日本においてもマイナンバーカードを健康保険証として使えるようにする制度が
2021年3月に始まるのに合わせ病院を受診するときに顔認証による本人確認システムを導入する案が政府内で検討されている。病院の窓口に置くマイナンバーカードの読み取り機器にカメラ付きの顔認証システムを組み込み、患者がカードをかざすなどして情報を読み取らせ、病院スタッフらの手にカードが渡らないようにする。改正健康保険法に基づき、厚生労働省は21年3月にもマイナンバーカードの保険証利用を始める。窓口でカード裏面のICチップを読み取らせ、保険診療の支払い審査機関に照会し、保険資格を確認できるようにする。カードに付いている顔写真を機器が取り込み、カメラに映った患者本人の顔と照合する。(出典:【図解・行政】マイナンバーカード保険証の顔認証2019年6月https://www.jiji.com/jc/graphics?p=ve_pol_seisaku-syakaihosyo20190602j-03-w550)
7. IDカード制をインドでは国民識別番号制度アドハーとして発展させている。
アメリカ合衆国の社会保障番号と比較した場合、アドハーには指紋や虹彩といった生体情報や顔写真の情報が照合可能な情報として登録されているため、本人確認や生体認証として用いることが可能となっている。また、様々なSDKやAPIが公開されており、本人確認や本人に紐づく決済や医療といった各種の既存システムへの組み込みや新規サービスの開発が可能となっている。2017年7月の時点ではインド人口の99%以上、11億6000万人近くが自身の顔写真、両手の全ての指の指紋、両眼の虹彩の情報を登録し、アドハーの身分証明カードを受け取っている。銀行取引、住宅ローンの契約、携帯電話の利用といった生活の中や政府職員の勤怠管理(出退勤の記録)もアドハーによる生体認証や12桁の数字を使って行うようになってきている。
アドハー導入の効果で、金融機関を利用する女性の割合が27%増加し、アドハーを利用した銀行口座の開設件数は2億7000万口座を超し、携帯電話の利用率も前に比べて倍増し人口の79%が携帯電話を利用するようになっている。アドハーはインド国民以外も登録が可能で2015年時点ではバングラデシュとパキスタン出身者を中心に、520万人の外国人がアドハーに登録を行っており、外国人労働者の身分証明と法的な地位の認定に利用されている。アドハーへの登録は、インド国民にとって義務ではないが、アドハーの身分証明カードが必要とされるサービスは増加しており、実質的に身分証明カードを所有しない生活が困難になってきている
インド鉄道では、鉄道乗車券をオンライン予約する際にアドハー番号の提示を要求する計画もある。
アドハーの構想が生まれた2000年当時、インドでは低所得者向けの食料や肥料の配給の4分の1が不正受給されていた。根本的な原因は、適切な個人識別制度が存在しないためであると、当時のインド政府は主張している。インドにおいては、出生証明書の所持者は全国民の半分以下に過ぎず、納税者は更に少なく、運転免許の所有者はもっと少ない。公的な身分証明書を所持していない人は、特に貧困層に顕著であり、社会生活に参加できる機会を奪っていた。また、福祉予算の不正受給や無駄遣いを防止し、正しい対象者に給付が行われるようにするため、強力な情報セキュリティ機能を持つ個人識別制度を確立する必要があった。
インド固有識別番号庁(UIDAI)が全インド国民に12桁の数字を発行する「アドハープロジェクト」を2009年に着手した。推進責任者にナンダン・ニレカニ(インフォシス2代目CEO)が当時のマンモハン・シン首相によって任命された。2010年に登録申請が開始された。 2016年には携帯電話のSIMカードの取得、納税申告書の提出といったサービスを受ける際には、アドハーの番号が必須となった。また、インド財務省は2017年末までにアドハー番号とひも付けがされない個人銀行口座を凍結すると発表した。しかし、アドハーにも登録情報の情報漏洩の問題がある。政府の4つのウェブサイトから1億3000万人以上の登録者名、銀行口座番号、アドハー番号が流出し、ネット上で公開された。また、インドでは無線通信のための帯域幅が枯渇しているため、膨大な生体情報を高速にやり取りする必要があるアドハーのシステムには適切ではないという批判がある。インフラの未整備 - 指紋認証、虹彩認証の装置を動かすには電源が必要であるが、インドは停電も多く電力供給が不安定であり、推定2億4000万人のインド国民は電気のない暮らしを送っている。
なを、アドハーが国家による監視システムとなるのではないかとの懸念もある。アドハーが指紋や虹彩を登録し、基本的なサービスに活用されることから、プライバシー権の侵害を訴える訴訟が起きた。インド憲法ではプライバシー権は明文化されておらず、インド政府は国民にプライバシーに対する絶対的な権利はないとする立場をとっていたが、インド最高裁判所は、2017年8月にプライバシー権は憲法で保障される権利だと認める判断を下した。このため、アドハーの見直しが予想されている。 (出典: ウィキペディア アドハー)
Forbes.com CONTRIBUTORS 2015/11/30記事 インドで進む「10億人のマイナンバー制度」生体認証を実用化
‘https://forbesjapan.com/articles/detail/10317’によれば
「アドハーは10億人以上の生体情報を採取して管理し、有効に活用しようとしている。」
「Aadhaarプロジェクトとは、インド固有識別番号庁が全国民を対象に12桁の数字を発行するというもので、2009年から着手されている。なりすましによる金融取引の被害を防ぐことをプロジェクトの目的としている。MapRは、大規模データを分散処理するフレームワークApache Hadoopを開発・提供する。」
「十億人以上のデータを処理するためには、ビッグデータを格納し、一日に何百万件も発生する照会要求に対応できる技術プラットフォームの構築が求められる。本人確認を行うには、まず個人が固有番号を提示して指紋か虹彩をスキャンする。その内容がデータベースに格納されている顔写真と照合される。毎日1億件を超えるID照合が行われるため、データ処理を約200ミリ秒でリアルタイムに行うことが重要になる。インドは農村人口が多く、通信インフラが整っていない地域に住み続けている人が大勢いる。こうした状況に対応するプラットフォームを構築し、既に9億2800万人以上がAadhaarのデータベースに登録されている。今後登録者数が更に増えると、リアルタイムでの処理能力が飛躍的に向上し、様々なサービスに本人確認の技術を応用することが可能になる。」
「アメリカの社会保障番号はただの番号であって、本人確認や生体認証を行うことはできない。Aadhaarは米国の仕組みを遥かに追い抜いている」
「ビッグデータの活用を支えるストレージを実現したことで、インドはヘルスケアや保険サービスの提供に加え、モノの配送などの面でも世界をリードする可能性があるという。」
『ニューズウィーク日本版2019年5月17日記事 インド13億人の「生体認証」国民IDに知られざる日本企業の貢献‘https://wisdom.nec.com/ja/collaboration/2019051701/index.html’ 』にも以下の記事が掲載されている。
「インド社会を変えると期待されている国民IDシステムアドハーは既に12.3億人以上が登録し、公共福祉サービスが効率的に支払われるようになり、不正行為も激減したが、この制度を支えるのが日本の技術である。」
「現在、13億人が暮らすインドで、実に12.3億人以上の国民が、強制ではないこのアドハーに登録を済ませている(2018年12月31日現在)が、技術を提供しているのは、生体認証技術で世界的に高い評価を受けているNECである。」「生体認証IDシステムで、国民の名前や住所、生体情報を収集して管理する。システムに登録された国民1人ひとりに12桁の数字からなるIDを発行し、役所などの公共機関や銀行はこの固有のIDを使って社会保障の受け取りや銀行口座開設の本人確認をスムーズに行うことができる。」「IDシステムによって、公共サービスや福祉支援、金融サービスを公平に享受できるようになっている。」「汚職や不正が減ったことで、政府はこれまでに124億ドル(約1.37兆円)の不正支出をなくすことに成功している。
アドハーにより国民のみならず政府も恩恵を受けている現状は、世界的にも評価されている。」「NECは、米国国立標準技術研究所(NIST)が実施した指紋認証技術と顔認証技術のベンチマークテストで世界1位の照合精度との評価を獲得している。虹彩認証でも、精度評価テストで第1位の照合精度であるとされている。NECは指紋、顔認証、虹彩のマルチモーダル生体認証を組み合わせることで、それぞれの弱みを補完し、精度の高い照合を実現し、超大規模データベースで二重登録を防ぐ。」「NECの技術では、その照合を高精度かつ効率的に行い、なりすましの防止や手続きの簡素化を実現している。アドハーによって不正や搾取は「激減した」とという」
「そんな評価の一方で、国民監視やプライバシー侵害につながるのではないかと懸念する声も出ている。2018年には、インド最高裁でもこの問題が争われた。だが結局、9月にアドハーの正当性を支持する判決が出された。」
国民識別番号は、全ての国民に固有の番号を振り、特定個人を識別し管理しやすくする制度で、コンピュータネットワークによる行政事務の効率化を目的とする。福祉国家である北欧では高負担高福祉の観点から行政手続きの効率化・平等社会の実現・個人が行政サービスの手続き簡易化のために1960年代から導入された。日本では左派の野党や課税逃れを中心に国民総背番号制と反対が多かったが、北欧では長期的に政権の座にあった社会民主主義を志向する左派第一党の政権で導入されている。高福祉高負担で高い経済成長と財政健全化の両方が実現している北欧では課税逃れや生活保護など社会保障受給での不正を不可能にする個人番号を唯一無二の個人認証手段として国家財政を成り立たせている。
国民個々に重複しない番号を付与し、それぞれの個人情報をこれに帰属させることで国民全体の個人情報管理の効率化を図ろうとするものである。氏名、登録出生地、住所、性別、生年月日を中心的な情報とし、その他の管理対象となる個人情報としては、社会保障制度納付、納税、各種免許、犯罪前科、金融口座、親族関係などがあげられる。多くの情報を本制度によって管理すればそれだけ行政遂行コストが下がり、国民にとっても自己の情報を確認や訂正がしやすいメリットがある。先進諸国には納税者番号制度が整備されているが、日本には2016年までなかったため預金等の口座の名寄せが不可能で、不正蓄財が発覚しないことが多かった。
インドは2009年に「インド固有識別番号庁」(UIDAI)を設置し、各国民に12桁の番号を割り当てる「アドハー(Aadhaar)」事業に着手した。アドハー番号の付与は2010年に始まり、2017年時点では全人口の約9割に当たる11億人以上をカバーしている。指紋や虹彩による生体認証と組み合わせることで、出生届など身分を証明する書類が不備な貧困層も、社会保障など行政サービスを利用できるようにした。システムの開発・導入に約10億ドルかかったが、福祉の不正利用削減などにより累計70億ドル近い効果があったという。2017年4月には、アドハー番号と銀行口座、スマートフォンを組み合わせた電子決済「アドハーペイ」の利用が始まった。 (出典: ウィキペディア 国民識別番号)
8. 大韓民国の住民登録番号
1968年の青瓦台襲撃未遂事件は朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の特殊部隊による当時の朴正煕大統領暗殺未遂事件であったが、こういった北朝鮮の工作員、諜報員を識別するために同年11月21日から韓国での住民登録番号制度は始まったとされる。
大韓民国では全国民に住民登録番号が付与される。個人が起業する場合は住民登録番号を元に管轄税務署が事業者登録番号を発行され、法人が起業される場合は法人登録番号を元に事業者登録番号が発行される。事業者は事業者登録番号で付加価値税、法人税を管理され、非事業者の所得税、相続・贈与税、譲渡所得税等は住民登録番号で管理される。
(出典: ウィキペディア 納税者番号制度)
また、国際大学グローバル・コミュニケーション・センター 諸外国における国民 ID 制度の現状等に関する調査研究報告書‘https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/linkdata/h24_04_houkoku.pdf’によれば韓国の住民登録番号PINはオンライン上で、生活便宜(教育、就職、運転免許、パスポ−ト、預金、投資、選挙、社会保険等)を向上させ、電子納税等の行政効率化に貢献する。韓国の住民登録番号制度は住民統制の手段、指紋押捺による人格権の侵害、個人情報の流出への憂慮等様々な批判を浴びながらも、行政業務処理の効率化と迅速な身分確認、住民居住現況や人口統計の容易な把握等で、社会の必須の制度として位置づけられている。2006 年に成立したID カード法案では指紋や顔写真のデータと共に住所、氏名をデータベース化し、 ID カードの携帯を義務付けている。
大韓民国(韓国)でも戸籍は継承され、徴兵制度の運用もあり管理が厳しく、「戸主制(朝鮮語版)」に基づく制度となっていた。しかし2005年2月3日に、憲法裁判所が韓国民法778条「一家の系統を承継する者、分家した者またはその他の事由により一家を創立したか復興した者は戸主となる」、781条1項「子は(中略)父の家に入籍する」、826条3項「妻は夫の家に入籍する」の三条項について、父系血統主義に立脚した正当な理由なき性差別の制度であるとして下した違憲判決に伴い、
翌月2005年3月2日にこれら三条項を撤廃する民法改正案が韓国国会で可決され、2007年大晦日限りで戸籍制度が撤廃された。その代わりに、2008年元日に家族関係の登録等に関する法律が施行され、家族関係登録簿による個人単位の登録となった。 (出典: ウィキペディア 戸籍)
住民登録番号は6つと7つの数字をハイフンでつなぎ、13個の数字を次のように表記する。yymmdd-snnnnmc それぞれの数字は次のような意味がある。yymmdd 六数字は生年月日である。例えば1987年1月19日に生まれた人は870119の数字を持つ。sは性別を現わす。
9:1800〜1899年生まれ男性
0:1800〜1899年生まれ女性
1:1900〜1999年生まれ男性
2:1900〜1999年生まれ女性
3:2000〜2099年生まれ男性
4:2000〜2099年生まれ女性
5:1900〜1999年外国生まれの男性
6:1900〜1999年外国生まれの女性
7:2000〜2099年外国生まれの男性
8:2000〜2099年外国生まれの女性
nnnnは出生地コード。邑・面・洞ごとに固有番号が行政自治部によって与えられる。
mは一貫番号。その日に提出された出生届のうち何番目であったかを表す。cはチェックディジットである。住民登録番号が見れば出身地が分かるため、地域差別につながると反対意見が根強く、2020年10月以降付与される番号から、性別以降の6桁をランダムな数字に変更されることになった。
(インターネットと住民登録番号)
2000年代後半現在、韓国では、サイトに加入しようとする際、多くのサイトでは、住民登録番号の入力を義務づけている。サイトの運営者が会員の動向を把握したり、1人につき1つの会員登録とするのに便利な反面、住民登録番号を持たない外国人の加入を排除する可能性が高い。なお、韓国に居住する外国人に付与される外国人登録番号は、近年になって、大手信用情報機関が法務部の外国人登録データベースと連動させているため、利用できるようになった。もっとも、外国人にも門戸を開いているサイト)がある一方、外国人が加入できないサイトも存在する。
また、住民登録番号の入力が全てのサイトで求められている中で、他人の住民登録番号を盗用するケースが目立ち、2012年8月に違憲判決が出た。流出被害は朴槿恵大統領をふくむ、実に番号の8割にものぼり、韓国政府は2014年9月29日、当制度の改訂案を検討するための公聴会を開いた。政府は、2015年までにインターネット上で住民登録番号による本人確認手続きを完全に禁止する方針を明らかにした。その代替策として「i-PIN」による本人確認手続きサービスの導入を進めている。これにより、従来利用が困難であった在外韓国人の本人確認が可能となった。2014年8月7日、個人情報保護法が改正され、不動産登記等、法が特に認めた場合を除き、住民登録番号を収集することを原則禁止した。ただし、改正後も例外が多く無意味になっているともされている。2015年1月22日、在外国民住民登録制度が開始され国内に30日以上滞在する在外国民や国外移住者に対して、「在外国民」と記載された住民登録証が発給されるようになり、社会保障、経済活動等において、国民と同様のサービス提供を受けられるようになった。(出典: ウィキペディア 住民登録番号)
CoinDesk Japan 記事「監視か、プライバシーか──お金をめぐる新たな戦い【世界経済フォーラム】STOは金融を変えるのか?【2月4日イベント開催】 ──2020年「btokyo members」始動https://www.coindeskjapan.com/35420/」によれば、世界の主要な銀行家や政治家が、第50回目となる世界経済フォーラムのためにダボスに集まり、中央銀行デジタル通貨のためのフレームワーク「政府が推進するブロックチェーン技術のデータ共有」について検討したという。参加者の中には、中国人民銀行のCBDC(中央銀行デジタル通貨)開発を大きな期待とともに見守っている人もいる。多くの中央銀行がデジタル資産の実験を行うことは必然で、これに関連してWEF(世界経済フォーラム)は1月22日に、そうしたプロジェクトが必要に応じて国際標準にアクセスするためのフレームワークとして「Central Bank Digital Currency Policy-Maker Toolkit」を発表したという。ダボスに集まった専門家の多くは、ブロックチェーン技術は独自デジタル通貨ではなく、より多くのデータ収集に利用すべきという点で一致しているようだ。ニジェール大統領の技術顧問のイブラヒマ・グインバ-サイドウ(Ibrahima Guimba-Saidou)氏は、新興国にとっては横領や他の金融犯罪を防ぐためにデジタル・レポーティング・システムを利用することはきわめて重要になると述べたという。
「指導者や政府の役人はどのようにして気付かれずにお金を持ち出しているのか?
仮想通貨が防止策となる。ブロックチェーンを使えば、お金がどこにあるかわかる」
グインバ-サイドウ氏の場合、焦点は国民ではなく、役人の金融取引を監視することにある。
(プライバシーの問題)
実質的に「秘密の銀行口座」を可能にしてしまうビットコイン・ウォレットをめぐる懸念は広がっているという。しかし、中央銀行のプロジェクトの中には、単なるIDチェックにとどまらないものもある。中国では民間が提供する金融サービスを形成するために、医療データから通信記録まであらゆることに政府のデータを利用する取り組みがすでに行われている。ほとんどの生データはブロックチェーンに記録されていないとジャーチェン氏は述べとという。ブロックチェーン技術は元ソースを共有することなく、記録が元ソースで検証あるいは計算されたことを証明するために使用されている。そうしたデータをリクエストしたり、アクセスできる人を規制する厳格な方針が作られることを望まれる。
ダボスでデジタル資産について楽観的な見方をしている人たちはガバナンスへの依存を減らすためではなく、ガバナンスを改善するための方法として捉え「金融フロー全体を追跡することが容易になり、より良い金融政策を作ることができる。ブロックチェーン・ベースのシステムのおかげで、より良いフィードバックループを持つことができる」と述べている。
世界銀行(World Bank)等と共同で、データ・フリーダム・アクト(Data Freedom
Act)の作成が取り組まれている。これはデータの収集者にデータを保護し、同意なしにデータを濫用しないための「受託者責任と民主的責任」を持つことを求め、また問題の状況に対処するために、市民に一個人としてよりも大きな力を与えるために「団体交渉」の枠組みを提供することを基盤としているとされる。
けれども、中国では民間が提供する金融サービスを形成するために、医療データから通信記録まであらゆることに政府のデータを利用する取り組みがすでに行われている。
また、「共通番号いらないネット代表世話人の白石孝さん」は1962年から住民登録番号という個人番号がある韓国では2007年から2015年までで2億数千万件もの不正アクセスと情報流出が発生、クレジットカードも住民登録番号で一元化され2014年にはクレジット会社や銀行口座関連の個人情報が1億400万件も流出、預金の無事を確認しようと顧客が銀行に殺到し、朴槿恵前大統領を糾弾する集会所近くの携帯電話基地周辺に警察が捜査本部を置き、携帯電話の電波から電話番号と持ち主、個人番号を把握していたと主張している。
(出典:週刊女性2017年4月25日号 樫田秀樹記事「病歴に預金まで個人情報がダダ漏れ!? マイナンバーがはらむ大問題」 ‘https://www.jprime.jp/articles/-/9480?page=4’)
さらに、「婚約相手の精神病・性病歴を詮索!? システムではなく職員による人為的な漏洩が深刻な個人情報流出の実態‘https://iwj.co.jp/wj/open/archives/287780’」に、住民登録番号が、医療データと結びつく危険について、次のような記事がある。
「日本では2015年9月のマイナンバー法改正により、メタボ検診とマイナンバーのひも付けが決められているが、政府からは、2018年頃までに個人番号カードを健康保険証と一体化させる案も出ている。」しかし、韓国で、「健康権実現のための保健医療団体連合政策室長」及び聖水医院の院長を務めるウ・ソッキュン氏によれば個人情報の提供を求められた健康保険公団(日本の全国健康保険協会や健康保険組合に相当)の職員が住民登録番号を使って個人の医療データベースにアクセスし、情報流出に関わっているという。「毎年起きている事例として、健康保険公団職員が数十人懲戒される。無断で健康保険公団の個人疾病情報を検索したためだ。例えば、結婚に際し、相手の家に精神病歴のある人がいないかという依頼や、ある家に性病歴等がないか、という依頼により健康保険公団の医療データベースに不正アクセスして、数十名の職員が摘発されている。」
警察によって住民登録番号が個人の生体情報と強制的に結び付けられている実態もある。
日本政府の「マイナンバー制度利活用推進ロードマップ(案)」を見ると、2020年までに「個人番号カードもスマホも持たずに、予め本人確認のうえで登録した生体情報で代用も可能に!」とある。「共通番号いらないネット代表世話人の白石孝さん」によれば、政府の言う「生体情報」の一つが、2016年1月から始まる個人番号カードに付される「顔データ」だそうだ。大手IT企業NECのサイトには次のように書かれている。「NECは、社会保障・税番号制度(マイナンバー制度)の開始に伴い、地方公共団体情報システム機構(J-LIS)から、全国の地方公共団体(1743団体)の個人番号カード(ICカード)交付窓口で本人確認に利用される『個人番号カード交付窓口用顔認証システム』を受注しました」 個人番号カードの写真と、来場者の顔を照合するシステムということだが、照合のために膨大な数の個人の顔データが蓄積されていくだろう。
「韓国のファソン郡というところで殺人事件があった。警察は、被疑者として、タクシー運転手に目星をつけ、その地方のすべてのタクシー運転手の血液を採取した。警察が血液採取を拒否したものが犯人だという雰囲気を作り上げた。そして、検察と警察により、遺伝子データベースが作られている。重犯罪者だけでなく、すべての被疑者の遺伝子情報を集め、住民登録番号に結びつけると、誰かを特定できる。データベースも永遠に残る。遺伝子データベースと個人IDを結びつけるのは、小説『1984年』のビッグブラザーを連想させる社会を作り出すことになる」
*小説『1984年』 全体主義国家によって分割統治された近未来世界の恐怖を描いている。同じ著者の『動物農場』やケストラーの『真昼の暗黒』等とともに反全体主義、反集産主義のバイブルとなった。また政府による監視や検閲や権威主義を批判する西側諸国の反体制派も、好んでこの小説を引用する。欧米での評価は高く、思想・文学・音楽など様々な分野に今なお多大な影響を与え続けている。
(出典: ウィキペディア 1984年 小説)
「人体の設計図ともいわれるDNAの塩基配列を抽出して使えば、他の生体の情報と同じように個人認証を行うことができる。照合はデジタル情報同志の直接的な比較により行えばよく、アナログ情報のように特徴点抽出やパターンマッチングによる難しい照合アルゴリズムは特に必要としない。」「近い将来、指紋のようにオンサイトチェックが可能と予測される。パスポートレス入出国管理が実現することも考えられる。」
(出典:一般社団法人 日本自動認識システム協会 DNAバイオメトリクス認証の特徴‘’‘https://www.jaisa.or.jp/action/group/bio/Technologies/Dna/Dna-f.htm’)
将来はDNA認証がマイナンバーに利用されると考えるが、遺伝子情報が悪用される危険がある。遺伝子検査によるオーダーメイド医療が期待されるが、遺伝子差別が問題になる。
「また、無視できない遺伝の影響とは、30%〜60%程度で、知能や学力、精神疾患は遺伝率の高いほう(50〜60%)に位置づく。行動のあらゆる側面には遺伝の影響がある。」
(出典:2020/1/10配信 現代ビジネス 男性の収入は「遺伝」でこれだけ決まるという「冷酷すぎる現実」https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20200110-00069659-gendaibiz-sctch)
なを、 大西睦子氏 更新 2015年03月14日JST 「遺伝子検査」で危惧される「差別」「プライバシー」の問題‘https://www.huffingtonpost.jp/foresight/genetic-test_b_6459784.html’によれば「遺伝子検査によって、1人ひとりの体質にあった「個別化医療(personalized medicine)=オーダーメイド医療」の実現が期待されているが、その「個別化」の裏には「差別化」という問題が潜む。」「米国マサチューセッツ州ケンブリッジ市に「責任ある遺伝学協会(Council for Responsible Genetics : CRG)」という民間団体が、遺伝子差別のケースを全米で初めて公表。【http://www.councilforresponsiblegenetics.org】
CRGは、遺伝子差別により、保険や職を失った500例もの個人や家族の具体的ケースを報告している。例えば、体内に鉄が過剰に増加する「遺伝性ヘモクロマトーシス」は、瀉血などで、病気の合併症の予防が可能であるが、遺伝性ヘモクロマトーシスと診断された女性は、現在は健康であるにもかかわらず、明確な医学的証拠もないまま健康保険の契約を一方的に解除されている。」「また、政府の仕事に応募した中年男性が、遺伝子検査によって先天性脂質代謝異常である「ゴーシェ病」の保因者であることが分かったのですが、この人も、発症はしていないにもかかわらず雇用を拒否されている。」さらに、「フェニルケトン尿症(先天性の代謝異常症により、出生後早期に治療されない場合、知能障害や発達障害を引き起こす)の治療を受けた後、食事療法により正常に成長した女性は、新しい職場で高リスク患者と判断され、グループ健康保険の加入を拒否されている。他にも、BRCA2遺伝子の変異のため、女優アンジーと同じように乳がん予防のため乳房切除をした女性が、手術後に職場から解雇されたというケースもある。」
(遺伝子差別禁止法)
「2008年に、米国では米国遺伝子情報差別禁止法(Genetic Information Non-Discrimination Act:GINA)が連邦レベルで成立され、この法律で、遺伝子情報に基づく健康保険に関する差別(加入の資格や保険料の決定等)、雇用者による差別(雇用、解雇、仕事の割当、昇進や降格の決定など)が禁止された。」「米国の保険会社『ノースウェスタン・ミューチュアル生命保険会社(Northwestern Mutual Life Insurance Co.)』は、顧客がもし遺伝子検査をしていればその結果を提示するよう求め、結果の共有を顧客が拒否した場合、より高い保険料の支払いを求めるか、あるいは加入の拒否につながることを規定している。同社の広報担当者は、「どんな医療情報が省略されても、保険会社は、契約を断る権利をもっています」と語っている。」「GoogleやYahoo 、Facebookがメールやソーシャルネットワークのサービスをフリーで提供する代わりに、利用者の個人情報や嗜好など様々な情報を集めて市場の製品の宣伝などに利用したい人にその情報を提供することでビジネスにしていることはよく知られている。それと同じように、『23andMe』社の長期的目的は、大量の遺伝子情報を集めて大規模な「バイオバンク」を作り、医学的研究のために販売したり、あるいは新しい特許を獲得することである。その大前提として、同社は顧客のインフォームドコンセント(医療行為や治験などの正しい説明を受け、十分に理解した上で合意すること)を獲得し、かつ顧客のプライバシーを守らなければならない。ただし実際は、プライバシーを守ることの保証が非常に難しくなってきている。」「日本でも、すでに『DeNA』や『ヤフー』などで遺伝子検査のサービスが始まっている。医療の発展のためには、遺伝子情報を収集し、研究を進めることが不可欠で、それによって将来、より優れた個別化医療の実現が可能となる。ただし現在、日本には米国のような遺伝子差別禁止法が存在しない。今後、米国と同様に、プライバシーや差別の問題が起こる可能性は極めて大きい。個別化と差別化のバランスを維持するために、早急な法制度の整備や、遺伝子検査についての教育や議論が必要だと思う。」(著者:大西睦子 内科医師、米国ボストン在住、医学博士)
上記のような遺伝子差別がインドで悪名高いカーストと結びつく危惧がある。インドでは、1950年に制定されたインド憲法の17条により、不可触民を意味する差別用語は禁止、カースト全体についてもカーストによる差別の禁止も明記している。またインド憲法第341条により、大統領令で州もしくはその一部ごとに指定された諸カースト(不可触民)の総称として、公式にスケジュールド・カースト(指定カースト)と呼ぶ。留保制度により、公共機関や施設が一定割合(平均15?18%)で優先的雇用機会を与えられ、学校入学や奨学金制度にも適用される。制度改善に取り組むものの、現在でもカーストはヒンドゥー社会に深く根付いている。
「カースト」は歴史的に脈々と存在したというよりも、植民地時代後期の特に20世紀において「構築」または「捏造されたもの」ともいわれる。インド伝統の制度であるヴァルナとジャーティの制度体系は流動的であり、固定的な不平等や構造というより、運用原則とでもいうべきもので、伝統制度には異議申し立ての余地なども残されていた。「カースト制度」はむしろ、イギリス人の植民地支配の欲望によって創造されてきたものと主張される。
カーストは身分や職業を規定する。カーストの変更はできない。ただし、人生の結果によっては次の生で高いカーストに上がれる。現在のカーストは過去生の結果であるから、受け入れて人生のテーマを生きるべきだとされる。カーストとは、ヒンドゥー教の根本的世界観である輪廻転生(サンサーラ)よって基盤を強化されている社会原理といえる。
一説にはアーリア人はトゥーラーン近郊を起源としているが、このあたりの疾患にしか免疫(液性免疫・細胞性免疫)を有していなかった。アーリア人の侵略の初期においては、ドラヴィダ人などの原住民と生活圏をともにし、時には婚姻関係さえ結んでいた。しかし、侵略範囲が広大し、トゥーラーンから離れるほど、アーリア人が経験したことのない感染症を原住民が保有・保菌している事態が出てきた。原住民は既にそれらの感染症に免疫を獲得しているが、アーリア人は免疫を持っていないために、次々とアーリア人のみが風土感染症により死亡する事態が出てきた。このような事態に対応するためアーリア人が取った政策が、アーリア人とそれ以外の民族との「隔離政策」「混血同居婚姻禁止政策」である。
制度発足時は「純血アーリア人」「混血アーリア人」「原住民」程度の分類であったとされ、「混血アーリア人」を混血度によって1?2階層程度に分けたため、全体で3?4の階層を設定した。その後、この政策を宗教に組み入れられ、ヴァルナに制度として確立された。
海外の著名な社会学者、人類学者や歴史家はカーストの人種起源を否定している。
(出典: ウィキペディア カースト)
国民IDシステムであるアドハーによりインド人口の99%以上が顔写真、指の指紋、両眼の虹彩の情報を登録し、アドハーの身分証明カードを受け取っている。(2017年7月時点)
しかし、アナログ情報(指紋、虹彩、網膜や顔形等)から識別精度が高いDNA(遺伝子)デジタル認証になる可能性がある。遺伝子差別が新たなカースト制度を作る危惧がある。
マイナンバーには、戸籍・律令制が現代に蘇り監視国家になる危険があるが、国民の徹底した検証ができるのであれば、透明性を高め国民の利便性を高めることが期待できる。租税制度・租庸調制では国家による人民支配は徹底したが、課税は恣意性を排除し一律に行われた。高福祉高負担で経済成長と財政健全化を実現している北欧では課税逃れや生活保護等社会保障受給不正を防ぐ個人番号で国家財政を成立させている。
インドの国民識別番号アドハーは、生体情報や顔写真情報を照合可能情報として、登録・本人確認・生体認証が可能である。本人確認や本人に紐づく決済や医療の各種既存システムへ組み込むこともできる。けれども、遺伝子情報が悪用されることで、遺伝子差別を呼び、新たなカースト制度が形成される危険がある。
しかし、インドでは公的身分証明書を持たない人は貧困層に顕著で、低所得者向けの食料や肥料の配給の4分の1が不正受給されていた等の事件は個人識別制度が存在しないためとされる。しかし、DNAの塩基配列を抽出して使えば、他の生体の情報と同じように個人認証を行うことができ、アナログ情報による生体認証から識別精度が高いDNA(遺伝子)デジタル認証に発展し、個人認証を行うことができる。アドハーによって不正や搾取は激減したといわれる。新興国では、横領等の金融犯罪を防ぐためにデジタル・レポーティング・システムが利用され、役人の金融取引が監視されることになるが、国民監視やプライバシー侵害が懸念される。
韓国の住民登録番号制度は住民統制の手段、指紋押捺による人格権の侵害、個人情報の流出への憂慮等様々な批判を浴び、韓国のファソン郡の殺人事件でもみられたように検察と警察により、遺伝子データベースが作られる、韓国の健康保険公団の職員が住民登録番号を使って個人の健康保険公団の医療データベースに不正アクセスし、数十名の職員が摘発される等の事件も起きている。警察によって住民登録番号が個人の生体情報と強制的に結び付けられている実態もある。
また、中央銀行のプロジェクトの中には、単なるIDチェックにとどまらないものもある。中国では医療データから通信記録まで政府のデータを利用する取り組みが行われている。
ブロックチェーン技術は元ソースで記録が検証・計算されたことを証明するために使用される。ために、データ・リクエストやアクセスできる人を規制する厳格な方針が望まれる。
データ・フリーダム・アクト(Data Freedom Act)の作成が強く望まれ、データの収集者にデータを保護し、同意なしにデータを濫用しないための「受託者責任と民主的責任」を持つことが強く求められる。