T‐8 連邦国家(道州制)
国家の独占企業である中央集権国家を変える連邦国家(道州制)
http://rinoaguri.rakurakuhp.net/i_766849.htm
現在、道州制の議論では道や州に財政運営の権限や立法権を与える案も検討されている。道州制の検討は現在の中央集権国家日本を小国家の連合である連邦国家に変化させるという議論である。
ところで、よりよい国家を構築するという視点から考えた場合、連邦制が好ましい。中央集権国家は国家の独占企業であるという見方もできる。
独占企業の社員が、競合企業が無いため怠惰になるのと同様に官僚も堕落する。国民は小国家である各州の国家組織を比較できることから優劣が判断できる。
国民は移住によって国家を選択できる。官僚も市場原理が働く方が良い仕事をする。
現在、欧州では相続税を廃止した国が多い。相続税があると金持ちが、金融資産ごと他国に移住する。国債はできるだけ、自国の銀行に買わせるのが、経済にとって、望ましい。
このため、他国に預金が移されるのを防ぐためにドミノ倒しのように相続税が廃止された。日本で、相続税が廃止されないのは、国民が、国際化していないためである。
日本の借金は1000兆円を越えるといわれるのに財政が破綻しないのは国民と企業が日本の銀行に預金するためである。日本の銀行は国民と企業の預金で、日本国債を買う。
借金は日本円である。ドルやユーロではない。日銀で、1万円札を大量印刷すれば、インフレにはなるが、返済はできる。このため、日本は破綻することがない。けれども、
空洞化による企業の海外移転、円高を誘引とした、資産家の海外移住が、本格化すれば、日本は破綻する。国債の借り換えを日本国内で行うために、日本国内に預金を確保することは極めて重要である。
日本を連邦国家・道州制に再編することで、税制等を移住で選択できるようにしたい。
ドイツは戦後、ナチス中央集権国家に対する反省から州を小国家とした連邦国家になった。
日本では、戦後、中央集権国家に対する反省がなく、官僚中央集権国家を継続させた。
ドイツの連邦国家はひとつの複合体であり、中央国家である連邦と16の州から形成される。
参考: ドイツの実情
http://www.tatsachen-ueber-deutschland.de/jp/political-system/main-content-04/the-federal-structure.html
ドイツの財政憲法では、使命遂行のために各州が資金を調達する余地を大幅に認めている。
比較的大きな租税はすべて連邦法で定められているが、連邦法には各州代表、すなわち連邦参議院の同意が必要である。
こうした租税の中には連邦のみもしくは各州のみが受け取るものもあるが、特に大規模な租税は連邦と州の間で分配される。
アメリカ合衆国はアメリカ合州国であり州の連邦国家である。州は連邦政府とは主権を共有しながらも独立した統治体である。
州は独自の軍を持つ。アメリカの州の法人税は州によって異なる。高い税率を設定している州や地方自治体もあれば、州法人所得税の存在しない州もある。
法人税、所得税の税率が極端に低くし、売上税や固定資産税を高くする州もある等、アメリカの税制は多様である。(参考:wikipedia)
アメリカでは売上税(日本の消費税にあたる)は国税ではない。売上税は州税である。
売上税は州ごとに異なる。45の州で、商品の小売り販売、リース契約、およびレンタルで販売、サービスに売上税を課している。
アラスカ、ニューハンプシャー、オレゴン、デラウェアのように売上税の無い州もある。自州の住民が売上税の無い州で買い物をされると州内の小売業が衰退する。
自州の小売業の衰退を防ぐために州外での購入品やサ−ビスに使用税を課税する州もある。
http://en.wikipedia.org/wiki/Sales_taxes_in_the_United_States
アメリカでは郡や市でも売上税を課税できる。売上税の無い州でも郡や市で売上税を課税することもある。なを、カリフォルニア州 アリゾナ州のように不法移民の多い州では売上税の税率は高い。
不法移民は所得税・住民税・社会保険等を負担しないことが多い。生活するためには不法移民も、売上税を支払わないわけにはいかないからである。
裏を返せば、若年労働者を中心とした合法移民を増やし、所得税・住民税・社会保険等を負担させるのであれば、売上税(消費税)の税率を下げることができる。
日本もアメリカのようにすれば、国ではなく、地方ごとに、消費税の税率を決めることができる。
日本でも移民の受け入れが始まる。地方分権税制の要は消費税と移民だと思う。
不法移民は消費税率を上げ、合法移民は消費税率を下げる。移民の受け入れには地域社会の中心である商店街の長老、青年部の協力が不可欠である。
移民の受け入れ等で、社会保障費を中心とした財政収支の改善に実績のある地域社会においては特別区として商店街の中小・小売店の消費税を廃止する税制を構築してもよいのではないかと思う。
移民が、町内会の世話役でもある商店街の中小・小売店の店主達の利益になるようにすれば移民は成功する。消費税特区内商店街の中小・小売店を免税にすれば、商店街全体の集客力が高まる。
商店街を活性化できる。大規模店舗にも対抗できる。移民が、地元商店街の活性化に役立ち中小・小売店の店主達の利益になる。
民主党は、以前、小沢一郎氏の地方分権論「国と基礎的自治体による二層制」を主張していた。明確な「国と基礎的自治体による二層制」により地方分権を目指すというものである。
http://www.edita.jp/kaisetsu/one/kaisetsu772.html
「中央集権体制を直し個別補助金は全部やめる。お金も権限も全部(地方自治体に)渡す。日本を300から400の基礎自治体にして、国との2元構造にする」という主張である。
地域主権型道州制の導入は国民全体で議論すべき重要な問題である。小沢一郎氏の30万人程度の自治体を300程度作り国と市町村の2層構造と道州制には矛盾がある。
しかし、いずれにしても市町村の再編は必要である。民主党マニフェストは「コミュニティの再生・強化」で、地域団体として現に活動している地方自治法に基づく町内会、NPO、
中間法人等の法的関係を整理し、住民の意思により、コミュニティの強化・再生に適合した制度をつくるとしている。
民主党マニフェスト「コミュニティの再生・強化」はスウェーデンのフリ−コミューン、アメリカの市民団的市町村及び専門サービス型自治体を参考にしたものだと思う。
基礎自治体の形態は地域住民の意思により自由に作ることが望ましい。しかしアメリカでは無秩序な自治体乱立が問題になっている。
例えばLAFCOは、無秩序な自治体乱立を統合化する目的をもって1963年につくれたカリフォルニア州の制度である。
カリフォルニアは他州に比べて統制された自治体形成が行われているが、それでも足並みの乱れが問題になっている。
LAFCOは各郡に独立の機関として設置され自治体の形成、合併、領域変更などに広域的見地から秩序立った方向への誘導を行なった。
民主党の「コミュニティの再生・強化」は高度な住民自治が期待できる反面、無秩序な自治体乱立を招くリスクもある。
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