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Ⅰ-5 移民税制(逆空洞化税制)
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Ⅰ‐5 移民税制
(逆空洞化税制)

1.少子高齢化対策、移民税制の確立
日本の総人口は平成18(2006)年に1億2,774万人でピークに達した後、人口減少過程に入る。 高位推計によれば総人口は平成21(2009)年に1億2,815万人でピークに達する。それ以降は減少に転じ平成62(2050)年には1億825万人に達するものと見込まれる。 日本の出生率が1970年代半ばから人口を一定の規模で保持する水準を大きく割り込んでいるため今世紀初頭から始まる人口減少を避けることが出来ない。(国立社会保障・人口問題研究所)


財政改革のためには経済・社会を保つのが前提になる。このため、多くの移民の受け入れが必要になる。しかし、人口減少は先進国共通の問題である。 先進国全体が人口を維持するためには、途上国から年200万人が移る必要があるといわれる。各国が優秀な外国人を奪い合う争奪戦がおきる可能性がある。 争奪戦を勝ち抜くためには母国と受け入れ先の自治体の連携は有効である。移民の母国の自治体と受け入れ国の自治体が提携し税をわけあう税制を確立することで移民の争奪戦を勝ち抜ける。 移民の受け入れには反対も大きい。治安が悪化することを不安に思う人が多い。また、日本人が移民との競争に負け職を失い困窮することが危惧される。このような不安や危惧を緩和する制度も必要である。 土地に関する権利を日本人や共同体に留保することで、この問題に対応できる可能性がある。土地に関する権利は固定資産税等の不動産税と連動する。 土地に関する権利と固定資産税等の不動産税を地域社会の問題として検討することは重要である。欧州では国境を越えて自治体が姉妹都市に援助を行うことが知られている。 また、欧州では、不動産を保有し豊かな財産を持つ共同体が多い。共同体の不動産は中世からの村の共有地が共同体に受け継がれたものである。 (日本でも里山が、この共有地にあたるが、里山は明治時代に国有地にされた)欧州の共同体は財産を管理しその利益をメンバーに配分する。 また特に社会、文化面で公共活動を行う。このような欧州の共同体を参考に日本においても地域社会を再構築する税制を検討し確立すべきである。

以下は
swissinfo.ch
http://www.swissinfo.ch/jpn/index.html?cid=4483420

にあった、姉妹都市援助の例である。
 スイスでも外国の都市と姉妹都市の関係を持つ自治体は多い。 しかも、長期にわたり友好関係が続き、単なる姉妹都市以上の親交が深まるところもある。
 冷戦後、旧共産圏諸国の自治体と姉妹都市を結ぶ傾向があり、援助関係で結ばれている町もある。 スイスをドライブすると目に付くのは、町の入り口に立つ町の名前を示す標識だ。 たとえば、ヴンネンヴィル?フラマット市(Wunnewil-Flamatt)の標識。大きく姉妹都市の名前「タピオギュルギェ(Tapiogyorgye)」が併記されている。 多くの自治体が長期にわたり積極的に、姉妹都市との交友を深めている。東欧との関係を結ぶスイスの自治体は多く、援助関係が発展し交友が深まっている好例が見られる。 ヴィル市はドブレツェン・ヴィルキ市の病院などに停電用の発電機を贈与したり、ガス管や配電の拡張に協力するなど、活発に交流している。 東欧と姉妹都市を結ぶようになったのは、冷戦後だ。特にベルン州では冷戦後、州内の各自治体に「東欧諸国の自治体の建て直し」に協力するためにも姉妹都市の提携を奨励した。 東欧も西側の自治体と積極的に交友関係を求め、スイスのみならずドイツやオーストリアなどに働きかけたことも、東と西の自治体同士の交友が盛んになった背景にある。 援助関係から市民の交流がさらに深まった例もある。ベルン州のイッティンゲン市は、ベラルーシ共和国のドブルシ市と姉妹都市の関係にある。 ヴァルター・フライ市長は「姉妹関係が発展し、いまはそれ以上の関係にある」と提携したことは有意義だったという。 イッティンゲン市は同地域への援助に市の予算を大きく割き、姉妹都市の子どもたちを夏休みに招待するため、廃業したソーセージ工場を改築した。 長年にわたる交友を通し、市民一人ひとりがドブルシの市民と「友人関係」にあるという。

 (市民コミューン)
市民コミューンは農村では共有地を管理する自治組織から、都市では都市自由市民の自治組織から発展した団体である。 構成員は市民権を持ち、その資格は世襲されるようになった。州は19 世紀に地域の政治、行政を行うために市町村を創設するにあたり、市民コミューンとの関係をどう位置づけるか決める必要に迫られ、その対処の仕方によって下記の三種類の州に分かれた。
・市町村に一本化されて特別コミューンが存在しない州…ヴォー、ヌーシャテル、ジュネーブ州。
・両者が並存しそれぞれ独自の組織を持ち、市民コミューンはそのメンバーだけからなる選挙人団を別に持つ州。
・二つが混合した形態で、市町村の機関が市民コミューンの事務を管理する州(市民コミューンは市町村と合併することもできる)…フリブール、グラルス、シャフハウゼン、チューリヒ州。

市民コミューンは現在では限られた権限しか持っていない。まず財産を管理し、その利益をメンバーに配分する。 また特に社会、文化面で公共活動を行う。一般に市民コミューンのあるところでは市民権は市民コミューンが与える。市民コミューンは多くの不動産を有し、財産は豊かなところが多い。

(その他の特別コミューン)
主にドイツ語圏では市民コミューンの他にさらに次のような公共サービスの一部を担う特殊なコミューンがある。 これらのコミューンの範囲は市民コミューンと一致しない。
・教会コミューン・学校コミューン・救済コミューン・消防コミューン


2.移民受け入れ自治体の財政自立
税を国の問題として考えると国民にとって現実感がない。自分に関係のない遙な世界のように感じる。税源と事業を自治体に移譲することで税が国民の身近になる。 自治体の税制は住民の努力で変えられる。努力する住民が優れた税制を得ることができる。住民は市町村の税制改正を真剣に検討するだろう。市町村に税源と事業を移譲させる意義はここにある。 そして、市町村が税収を増やし財政を豊かにする場合に最も効果があるのは移民である。
けれども外人労働者が増えると治安が悪化しトラブルになる。 このため、地域で外人労働者の受け入れを選択することが望ましい。このためにも地方分権を強化する必要がある。 つまり、外人労働者を受け入れた地域住民は税金を安くし受け入れない地域住民の税金を高くするために市町村に税源と事業を移すということである。

下記は移民の町、大泉町ホ-ムペ-ジ
http://www.town.oizumi.gunma.jp/

 フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』      
http://ja.wikipedia.org/wiki/大泉町

記事からまとめた。大泉町は移民により生産年齢人口割合が高い。そのため税収が他の市町村よりもある。そのため交付金不交付団体である。 財政的に自立している。地方分権・財政自立が移民によってなしとげられることがわかる。けれども、治安は悪化し移民と地元原住民との対立は深刻である。 移民は税収を増やし地元経済を活性化させ財政を自立させるが問題も多い。地元住民が移民の利点と欠点をよく理解し、住民の総意で移民の受け入れを選択する必要がある。

大泉町 群馬県邑楽郡面積 17.93km²(推計人口、40,838人2010年3月1日)
町内で事業を営む企業からの税収があるため、交付金不交付団体を続けており、財政的に自立している。 県内の自治体で生産年齢人口割合が最も高い自治体でもある。 第二次世界大戦前には中島飛行機の工場があり、戦後は三洋電機や富士重工業の工場となった。 昭和16年(1941)に太田・小泉飛行場が完成、翌年中島飛行機小泉製作所が開所してから軍需都市として隆盛を極めた。
終戦後、これらの施設は米軍が使用したが、昭和34年その一部の返還、翌35年には首都圏都市開発区域の指定を受け、以来積極的に工業団地の造成を行う。 その後の工業化は目ざましく、電機機器・輸送機器などを中心に多数の優良企業が進出。現在、年間製造品出荷額は県内市町村第2位である。 また、昭和32年大泉町スタート時には約1万9千人だった人口は昭和48年には約2万8千人で県内町村第1位になり、現在(平成15年3月末現在)は4万2千人を超える。 人口密度は群馬県内の市町村の中で最も高い。人口の約1割はブラジルやペルー出身の日系人という特徴を持っており、隣接する太田市とともに日系人労働者が多い。
1990年の出入国管理法の改正によってブラジル、ペルーの日系人が日本国内で自由に働けるようになったため、 人手不足から町では日系人を積極的に誘致し、これら外国人登録者が全人口の約16% を占めるようになった。外国人比率では全国1位である。 出稼ぎを目的に来日するブラジル人は、社会・生活面の適応に苦労し、多くの問題に直面した。また、これから派生して犯罪を引き起こす青少年の増加という問題も放置できなくなっている。 25歳以下の外国人犯罪検挙数のうちブラジル人が3割強を占めた(2001年)。特に深刻な問題は義務教育年限の子供達の教育・不就学および青少年犯罪の問題である。 子供達を放任しておけば言葉がわからず時間を持て余し、悪の道に染まる。職に就けない若者は麻薬に誘惑される。 学校や日本社会からの疎外感などが原因で、登校拒否や非行、さらには凶悪犯罪にはしる青少年が急増している。 また高校までの学齢期の青少年の4割が不就学とも報告されている。ブラジル人犯罪で留置場が埋まることも多い。けれども大泉町における外国人による犯罪検挙数は1996 年をピークに減少し、1999 年にはピーク時の1/4 となった。また、殺人・強盗などの粗暴犯の外国人比率は低くなった。
 町には、富士重工業、三洋電機などの工場を中核とした工場団地があり、多くの日系ブラジル人が工員として働いている。 大泉町も他の地方都市と同様に過疎化と高齢化が進んでおり、バブル経済時代にかけて深刻な労働力不足に見舞われ、 1990年に入管法が改正されたことを機に、当時の大泉町長や商工関係者が奔走し、日系ブラジル人の積極的な受け入れに動いた。 「彼ら(日系ブラジル人)が出稼ぎに来てくれなかったら、とうに町は廃れていたはず」と関係者は当時の状況を振り返る。 彼らの存在がなければ、西小泉駅の周辺や商店街は、とっくにゴーストタウン化していただろう。 しかし、移民を受け容れている他国の状況と同様に、大泉町でも日本人住民との融合、コミュニケーションのあり方が問題になっている。 エスニック・コミュニティは、ホスト社会にも商工会があるにもかかわらず、独自に日伯商工会を設立している。 エスニック・コミュニティが拡大し、ホスト社会とエスニック・コミュニティとの間の対立やホスト社会とエスニック・コミュニティとが個別で解決できない社会問題が表面化している。 アパート、集合住宅のある地区では住民のうち40%が外国人というところもある。 しかし、日系人コミュニティと町民の間にはあまり交流が見られない。生活習慣の違いからの苦情も多い。 また、「行政・地区役員・外国人」の3者懇談も計画したが、出席率は非常に悪く100人中5~6名ほどであった。 町に馴染もうとする意識の低さも伺われる。けれども市民側からのサポート体制が強化され、ホスト社会とエスニック・コミュニティとの協働によるまちづくりの可能性も見ることができる。 

3.ふるさと納税を外国の市町村にも適用すること

大都市は若年労働者を必要としている。 人的資源を供給する地方の教育等の補完的役割を評価することから、ふるさと納税が確立された。けれども人的資源の補完的関係も国際化している。 先進国も発展途上国から人的資源の供給を受ける。国内であれば交付金が、格差是正に完全ではないが、一定の役割を果たす。税の問題として考えるのであれば、 人材を育成しながらも先進国から交付金の交付を受けない発展途上国の方が問題である。
ふるさと納税を外国の自治体にも適用するべきである。育った母国の自治体と居住し働く国の自治体が国際的に互いに助け合うのが理想である。
母国の自治体と提携し税を分け合う体制を築くことで移民の素性を把握できる。国際的な自治体の提携は防犯と企業進出に役立つ。

現在、インドネシア、フイリピン等から不足している看護師、介護師の招へいが始まっている。けれども、日本語の壁もある。費用も割高である。 また、医学部等における医師・看護師の養成費用も日本国内ではなく発展途上国で行った方が、養成するコストを低減できる。 いずれはインドネシア、フイリピン等の外地に日本人も学ぶ医大もできるだろう。外地に老人病院、老人ホ-ムが設置され医療費が低減することは厚生労働省も望むところではないかと思う。 ふるさと納税を特定の外国の市町村にも適用し互いに助け合うことで、海外・年金生活者町の基礎を作ることができる。国境を越えた自治体の提携と税の配分を模索すべきではないかと考える。

4.外人(外人労働者・移民)納税者番号

米国では、銀行口座の開設、クレジットカードの発行、家の賃貸、ガス・電力会社・水道の契約、子供を所得税制上の扶養家族とすること等に社会保障番号(SSN)は必要とされる。 また、内国歳入庁は、すべての企業に対し、従業員に社会保障番号(もしくは代替できるナンバー)の取得を求めている。 また、年金番号にもなっている。このように、生活の全てに社会保障番号(SSN)が要求されるため、米国では社会保障番号(SSN)がないと生きていけない。
米国では内国歳入庁が、すべての企業に対し、従業員に社会保障番号(もしくは代替できるナンバー)の取得を求めていることが、不法就労に歯止めをかけている。 また、社会保障番号を持たない者は米国内での就労が困難であるため、移民や外人労働者にとって、社会保障番号(SSN)の取得はステータスになっている。

日本においても、今後、納税者番号の取得が、日本における就労の許可の証明書になる可能性が高い。

納税者番号の取得が日本においても移民のあこがれのステータスになると思う。

ふるさと納税が外人に適用されるにしても納税者番号は必要である。
できれば、外人の故郷の納税者番号とリンクすることが望ましい。
近年、発展途上国でも納税者番号に対する関心は強い。
日本の姉妹都市となった外国の都市の住民台帳に日本型の納税者番号を入れることはできないだろうか?

派遣元の外国都市と受け入れた日本の都市の住民台帳を納税者番号で連動させられないだろうか?
今後、フイリピンやインドネシアのリゾートや老人ホームで生活する日本人も増える。
税金だけではなく、身元の照会等、多くの問題で、自治体間の連携は必要になる。
納税者番号の議論は国際的な観点からおこなうべきだと考える。

 社会保障番号   出典フリー百科事典『ウィキペディア』      

http://ja.wikipedia.org/wiki/  社会保障番号

「Social Security number, SSN」は、アメリカ合衆国において市民・永住者・合衆国法典における社会保障法(the Social Security Act)205条に記載された外国人就労者に対して発行される9桁の番号。 連邦政府の社会保障局によって個人に対してそれぞれ発行される。もともとは徴税用の個人特定が目的であったが、近年は事実上の国民識別番号となっている。」

「社会保障番号は、1936年11月、社会保障局によってニューディール政策の社会保障プログラムの一環として最初に発行され、3か月のうちに発行対象者は 25万人に及んだ。」 「1986年に租税法が改正され、5歳以上の個人で社会保障番号を持たない者は税控除の対象とならなくなり、1990年には 1歳にまで対象年齢が引き下げられ、最終的には年齢を問わずに税控除の対象外となった。 こうして、親は子供が生まれてすぐに社会保障番号を適用させることになった。今日、社会保障番号の適用は出生証明書の登録と同時に済ませることができる。」

「社会保障番号の元来の目的は、社会保障プログラムの中で個々人の収支を記録するためのものであったが、やがて多重登録などのエラーも稀にあったものの、 アメリカ国内での身分証明として使用されることとなった。労働・疾病・学業・クレジットなどの記録に社会保障番号が用いられることもある。アメリカ軍は、1969年7月1日よりアメリカ陸軍とアメリカ空軍で、 1972年1月1日よりアメリカ海軍とアメリカ海兵隊で、1974年10月1日よりアメリカ沿岸警備隊で、それぞれ将兵の認識番号として社会保障番号を用いている。」

「アメリカの社会保障はもともと全員負担であったが、メディケア制度が1965年に可決すると、社会保障に反対する1951年以前から続く宗教団体はシステムから除外してもよいとされた。 このため、アメリカ国民のすべてが社会保障プログラムに加入せずともよくなり、また社会保障番号を持たなくともよくなった。 しかしながら、子供を所得税制上の扶養家族とするためにはいずれにせよ社会保障番号が必要である。 また内国歳入庁(国税庁に相当する)は、すべての企業に対し、従業員に社会保障番号(もしくは代替できるIDナンバー)の取得を求めている(後述)。」

「社会保障番号を持たない人々もいるとはいえ、社会保障番号をもたずにローンや銀行口座の開設など、合法的な金融活動に参加するのは難しくなっている。 また、番号を持たない者は、一般的に、持っている者より米国内での就労がやや困難である。」

5.移民と消費税

アメリカの州の法人税は州によって異なる。高い税率を設定している州や地方自治体もあれば、州法人所得税の存在しないワシントン州のような例もある。

アメリカでは売上税(日本の消費税にあたる)は国税ではない。売上税は州税である。
売上税は州ごとに異なる。45の州で、商品の小売り販売、リース契約、およびレンタルで販売、サービスに売上税を課している。
アラスカ、ニューハンプシャー、オレゴン、デラウェアのように売上税の無い州もある。アラスカは石油等の天然資源が豊富なためである。
オレゴンは過疎地であり、人口を増やしたいのではないかと思う。ニューハンプシャー、デラウェアは購買客を増やし産業を振興させるという考えによるものであろう。 ニューハンプシャー、オレゴン、デラウェアの周辺の州では自州の住民が売上税の無い州で買い物をされると州内の小売業が衰退する。 自州の小売業の衰退を防ぐために州外での購入品やサ-ビスに使用税を課税する州が多い。

http://en.wikipedia.org/wiki/Sales_taxes_in_the_United_States

アメリカでは郡や市でも売上税を課税できる。売上税の無い州でも郡や市で売上税を課税することもある。なを、カリフォルニア州 アリゾナ州のように不法移民の多い州では売上税の税率は高い。 不法移民は所得税・住民税・社会保険等を負担しないことが多い。生活するためには不法移民も、売上税を支払わないわけにはいかないからである。 裏を返せば、若年労働者を中心とした合法移民を増やし、所得税・住民税・社会保険等を負担させるのであれば、売上税(消費税)の税率を下げることができる。

日本もアメリカのようにすれば、国ではなく、地方ごとに、消費税の税率を決めることができる。

移民の受け入れ等で、社会保障費を中心とした財政収支の改善に実績のある地域社会においては移民特区とし、商店街の中小・小売店の消費税を廃止する税制を構築してもよいのではないかと思う。


地域社会の要は商店街の長老、青年部である。神社の祭礼も商店街の長老、青年部が中心になっている。町内会・警察友の会・消防団の役員は商店街組合の役員と重なることが多い。 民生委員も町内会の推薦によることもよくみられる。商店街が、町内会等の地域社会を支えている。 商店街の長老、青年部を構成するのは地元商店街の中小・小売店の店主達だ。移民が地域社会と融和するかどうかは彼等の努力によって決まる。 移民が地元商店街の中小・小売店の店主達の利益になるようにすれば移民は成功する。

大泉町の場合でも、商工会議所において、移民に対する見解が、商業と工業でわかれたという。全般的に、商業は移民に反対、工業は移民に賛成という図式だったという。 大泉町の工場は移民なしでは成り立たない状況にあった。工業に利害のある町民が多かったことから移民は継続されたのではないかと思う。
けれども、商業の場合、「ブラジリアンプラザ」のようなブラジル系ショッピングセンターが在日ブラジル人の購買の中心になる等、地元商店のメリットは少なかった。 このため、商業者にすれば、治安の悪化等の移民のデメリットが、目障りだったのではないかと推測される。地元商店街にも目に見える移民のメリットが、必要だと思う。

消費税特区内商店街の中小・小売店を免税にすれば、商店街全体の集客力が高まる。商店街を活性化できる。 大規模店舗にも対抗できる。消費税率が上昇すれば、逆に中小・小売店は優位に立てる。移民が、地元商店街の活性化に役立ち中小・小売店の店主達の利益になる。

6.移民特区

下記は財務省財務総研研究部主任研究官 小黒一正氏の考察である。
科学的に優れた考察であるが、問題がある。

このシナリオでは、低賃金労働者を求めて、工場を海外に移転させることでおきる空洞化を阻止できない。 このため、このシナリオが成功したにしても、知的労働者や熟練労働者の雇用は維持されるが、知性の低い労働者や未熟練労働者の雇用は維持されない。 また、空洞化は企業が国内からいなくなることから、税収を減少させる。知的労働者やIT技術者など、熟練労働者・移民の受け入れだけでは、空洞化による税収の減少に対応できない。

人口減少経済と移民等に関する一考察(経済学の視点から)

http://www.mof.go.jp/pri/summary/column/oguro_001.htm

「未熟練外国人労働者・移民の受け入れは、先進国の労働者の経済的厚生を低下させる可能性がある。」「このことが、途上国の未熟練労働者・移民の受け入れを抑制する根拠となっている。」 「先進国の労働者賃金を低下させないように、熟練労働者・移民の受け入れを行い、先進国の労働の限界生産性を MPLIからMPL’Iに右シフトさせることが望ましい。 「知的労働者やIT技術者など、熟練労働者・移民の受け入れについて前向き対応することになる。」

Gary Stanley Beckerは、外国人労働者が先進国で働く権利や移民権を入札にかけることを提唱していたことがある。」 「また、外国人労働者が先進国で働く権利や移民権を入札にかける場合、この代金の回収見込みがある外国人労働者・移民でないと入札を行う可能性は低くなる。」

また、総合特区制度について規制の特例措置や税制・財政・金融上の支援措置等について、平成22年7月20日(火)から平成22年9月21日(火)まで、 新たな提案(アイデア)の募集を実施したところ、移民特区が続々と提案されているという。

http://www.kantei.go.jp/jp/singi/tiiki/pdf/101224tokku_seido.pdf

移民特区の提案としては、下記に掲載した橋下大阪知事の伊丹跡地外国人特区や坂中英徳氏の「移民国家宣言」はおもしろい。
けれども、橋下大阪知事の伊丹跡地外国人特区は、前述の財務省の考察と同様に、空洞化を阻止できないため、知性の低い労働者や未熟練労働者の雇用の維持には役にたたない。
無能な労働者は、失業し、生活保護を受けるか、ホ-ムレスになる。
税収は減少し、生活保護等の増加により消費税率等の税率が上昇することになる。

坂中英徳氏の「移民国家宣言 5万人の農業移民が耕作放棄地を耕地に変える」では、日本の農民の多くは、優秀な移民に敗れ、排除されることになると思う。
最近の市場競争に耐える企業農場は工場とかわらない。
効率化され、生産性は高い。

坂中英徳氏の移民国家宣言もこのような工業化された先進農業を前提にしているように思う。
けれども、工業化された先進農業には、従来の農業にみられた牧歌的な風景はない。
生産性を重視する経営者からみれば、のんびりした農民等、無用なのだろうが、地域社会の伝統文化は、このような人々によって守られてきたことには留意する必要がある。


伊丹跡地外国人特区
http://www.youtube.com/watch?v=gmsndCoIZoc

坂中英徳の「移民国家宣言」 5万人の農業移民が耕作放棄地を耕地に変える
http://www.the-journal.jp/contents/sakanaka/mb/post_2.html

「日本農業の起死回生の策として、今後10年間で5万人の農業移民を受け入れ、約40万ヘクタールの耕作放棄地のすべてを耕地に戻す農業移民特区構想を提案する。」

「まず、内閣は、地方自治体からの申請に基づき、各都道府県の耕作放棄地を中心とする一定地域を農業移民特区に指定する。 同時に、同特区において農業移民を雇用することを特に認める農業生産法人(以下「特定農業生産者」と称する)を指定する。 その場合、農業生産法人に過半以上出資し、経営主体となる一般企業を、特定農業生産者に任ずるものとする。」
「一方、日本で農林業に従事したいと希望する世界の若者を、日本の農業大学校、農業高校が受け入れ、教育する。」
「特定農業生産者は、日本の農業専門学校を卒業した外国人を正社員として雇用する。」
工場が海外に移転するのは、海外に賃金の安い単純労働者が、存在するためである。
日本の大企業の工場における単純労働は、構内下請け中小企業が行うことがよくある。
部品の製造も下請け中小企業が行うことが多い。
今でも、大企業の部品・海外調達に日本の中小企業は苦境にある。
親会社が海外に移転すれば、下請け中小企業は完全に仕事を失い倒産する。
下請け中小企業で、単純労働に従事している従業員も失業することになる。
日本の単純労働者は、最低賃金法のために、市場で競争することもなく、仕事を失っているという見方もできる。
労働組合もよく考えるべきである。

国際化により日本の労働者は、中国、韓国、東南アジアの労働者と競合している。
現実を無視して賃上げを行えば、企業を破綻させるだけである。
労働者の働く場所はなくなる。
これからは、国際的な自由労働市場での競争力をつけるために、むしろ、賃下げした方がよい。
労働組合は賃上げよりも雇用の確保を最優先させるべきだと思う。
雇用を確保するための賃下げも検討すべきだと思う。
しかし、賃下げしただけでは、労働者も生活できない。
家賃等の物価を下げること、年金の税金化、低所得者層への育児手当、高校までの教育費の無料化等を実現させ、中国や東南アジアの労働者と競合できる賃金でも生活できる道を確保する必要がある。
労働組合活動もグローバル化により複雑な対応が求められるようになる。

特区が、一国二制度を意味するのであれば、特区の物価と賃金を途上国なみにすることもできるのではないだろうか?
未熟練工を熟練工に成長させるためにも、工場を日本国内に残す必要がある。
賃金が安くても、働く場があれば、人は成長できる。
失業し、生活保護を受けるか、ホ-ムレスになるよりも、移民特区で、移民とともに働き、途上国の生活水準で生活した方よいのではないだろうか?
生活は苦しくても自尊心は守れる。
日本人が、途上国の人たちよりも常に、豊かな生活をしなければならないという理由もない。

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